「葉山海洋スポーツ塾 トレイルラン&ラントレーニング2」

2011-11-20

前日の嵐のような大雨がうそだったかのように、海洋スポーツ塾のこの日は日差しも温かく陽気に恵まれました。11月下旬とは思えないぐらいに暑いほどで、しっかり汗を流しました。

ただ、予定していたトレイルランは、大雨のためにトレイルのコンディションが安全面と環境面で懸念されたため、ロードを使ったラントレーニングに更となりました。

そこで、今回のプログラムでは、来年1月22日に一色小学校周辺で開催される「葉山駅伝」のコースを使ってのトレーニング。「葉山駅伝」は昨年同様、海洋スポーツ塾のプログラムの一つですので、塾生みんなが出場する予定です(チーム結成はこれから!)。

しかも、今回のラントレーニングでは、「心拍計(ハートレートモニター)」なるものを使用。これは、運動中の心拍数を簡単に計測し記録できる時計型のハイテク機器です。胸に心臓の動きを感知するベルトをつけて、その数字が時計に表示されるしくみ。心拍数は、1分間の心臓の鼓動です(高校生のYさん大正解!)。

はじめて使う塾生ばかりですので、最初は胸のベルトに違和感を感じていましたが、自分の心臓の動きが腕時計に表示されるともう興味津々。わざと動いてみたり、深呼吸して(あるいは息を止めて)みたりして、心拍数が変化するのを楽しんでいました。

ところで、心臓の「心」は「こころ」の意味。心臓は「こころ」の動きにも敏感に反応します。たとえば、嬉しいとき、怒ったとき、リラックスしているとき、緊張しているときなど、気持ちの変化に同期して心拍数は変化します。

このことから、「心臓」という臓器の名前をつけるときに「心」の文字を使ったに違いありません。くしくも、英語で心臓を意味する単語「heart(ハート)」にも「こころ」の意味がありますから、昔から海外でも心臓は「こころ」と関係していることが知られていたのですね(ちなみに、「心のこもった」を意味する「ハートフル」はほとんど和製英語で、英語を話す人は使わないのでご注意を!)。

さて、そんな心拍数を記録しながら走った「葉山駅伝」コース。一色小学校を出発して、ぐるっと町内を1周する2キロ弱のコースです。そのコースを3回走りました。

1回目は塾生もコーチもいっしょにコース下見を兼ねてゆっくり1周回。塾生全員の平均心拍数は157拍/分(図1の左のグラフ)でした(平均タイムは12分23秒)。

次に事前に求めた目標心拍数(年齢と安静時心拍数から算出)の範囲内に走っている最中の心拍数が入るよう、各自で走るスピードを調整しながら走りました。その結果が図1の真中のグラフで、塾生全員の平均心拍数は183拍/分、平均タイムは10分01秒でした。

けっこうハードでしたが、この目標心拍数の範囲内でトレーニングすることにより、効率よく心肺機能や持久力(有酸素能力)を高めることができます。中には坂道ののぼりで心拍数が上がりすぎてしまい歩くほどのスピードに下げて調整を図る塾生もいました。目標心拍数で走ることができるようペースを考えることも大事なテクニックです。

そして、3回目の最後は自分のベストで走ることを目標にがんばってもらいました。2回目でがんばりすぎて体力の残っていない塾生もいましたが、塾生全員の平均心拍数は186拍/分(図1の右のグラフ)、平均タイムは9分57秒でした。

やはり、平均タイムの最もいい回では平均心拍数も最も高くなりました。つまり、心拍数は走るスピードやタイムに応じて変化するものですので、ペース作りや効果的なトレーニングの実施にはとても有効な目安になるのです。個人個人で心拍数を見ると個人差はありますが(図2)、各自で目標値と最高値を把握していれば、どこまでペースを維持して走れるか、全力ならどれぐらいまで走れるかなどの予想がある程度つくようになるものです。

このように今回の海洋スポーツ塾は海洋スポーツ「学習塾」とも言うべきなほど、頭も使って科学的なアプローチで取り組むことができました。こんなことをきっかけにもっと自分の体のことや体の不思議や可能性を感じてほしいと思います。

次回(12月4日)はトレイルを走りたいと思います。次回もみんなでチャレンジしよう!